ハーモニーフィールズ

シンガー、シンガーソングライター、マルチタレント、テレビ番組ホスト、ドキュメンタリー映画プロデューサー

第15回金曲賞(台湾のグラミー賞):最優秀グループ賞受賞
第28回金曲賞:最優秀原住民語最優秀アルバム賞受賞

台湾南東部に住む台湾原住民パイワン族の一家に生まれる。 2003年に女性デュオ「アーバオ&ブランディ」のメンバーとしてファーストアルバム「首張創作専輯」でデビュー。 2004年第15回金曲賞「最優秀グループ賞」を受賞するなど、順風満帆のキャリアの滑り出しを飾るかと思いきや、翌年所属レコード会社が突如倒産し引退を余儀なくされる。 その間、アルバムの企画/制作に力を注ぐようになり、自ら作詞作曲も始める。

2012年から台湾原住民のテレビ局TITVでテレビ番組のキャスター(番組ホスト)を務める。 先天的に生まれ持つ個性とカリスマ性がいかんなく発揮される契機となる。原住民の文化を促進し、原住民の芸術に関するさまざまな様式を紹介し視聴者と共有するこの番組は、開始直後から大きな反響を呼んでいる。 台湾は独自の文化的伝統を持つ原住民の多様性に恵まれており、この番組が多くの人々の支持を受けた理由の一つには台湾のそういった背景の影響もあるかもしれない。

2014年、パイワン族の音楽をより多くの人々と共有したい。消えかかっているパイワン族の歌謡、民謡を守りたい。 という祖母と母親のビジョンに触発され、パイワン族民謡のアルバムを制作。22曲のパイワン民謡の選定、再考を行い、祖母と母親と共にレコーディングし、新しい息吹を吹き込んだ「東排三聲代」をリリース。 彼女元来のDNAに備わる歌と概念を併せ持った歌い手として再出発することとなる。

本人曰く「これがきっかけとなって、母語であるパイワン族語と、部族の伝統歌謡に関心を持つようになりました。 音楽を聞いて、言語を理解できなくても恐れないでください。古代言語と現代スタイルの組み合わせが、より多くのパイワン族語リスナーを生むと信じています。特に新世代の原住民出身の若い世代の人々に 聞いて欲しいと思っています。ライフスタイルの変化により、我々はこれまで積み上げて来た多くの文化を失いつつあります。 母国語(パイワン族語)を使って歌詞を書くことは、パイワン族語の維持、継承にも繋がると思うのです。そして音楽を通して自分が学んだ母国語(パイワン族語)を皆さんとシェア出来る事はとても大きな喜びです。」

2016年、アーバオ個人名義のファーストアルバムで、パイワン族語によるアルバム「VAVAYAN(女人)」をリリース。 第28回金曲賞原住民族語「最優秀アルバム賞」並びに「最優秀アルバムプロデューサー賞」を受賞。爆発的な人気を呼ぶ。

2019年12月、3年ぶりに個人名義の2枚目のアルバム「KINAKAIYAN(母親の舌)」をリリース。 パイワン族語の民謡を基調としつつ、エレクトロニカ、ヒップホップ、ゴスペルなど、様々なジャンルの音楽をセンス良く取り入れ、賑やかな仕上がりとなっているが日常の大切さ、シンプルさを歌う秀作。部族の日常生活を描く曲を収録し、日常生活で良く使われる単語が場面別に歌われている。アーバオはこのアルバムを、「初級者向けパイワン族語教科書のよう」と形容している。

アーバオはパイワンスタイルの美しさを取り入れる第一人者として、また、パイワンスタイルが未来的なエッセンスをもたらす先駆者として、これからも大注目の1人。