■トナカイを数千頭放牧する家系。 人口500人ほどの南サーミの伝統を引き継ぐ。
1995年生まれ(現在21歳)、 ノルウェーの中東部 ヘードマルク県、スウェーデンとの国境近くEngerdal地域のSvahken sïjteという小さな村の出身。
この地域は、先住民族 サーミ人が太古より暮らしてきた。マリヤは現在500-1000人しかいない「南サーミ人」のひとりである。
トナカイの放牧を家業とする家に生まれ、その数は現在も数千頭。
今でも6月は生まれた 仔トナカイの耳にマークを入れる作業、9-10月頃は成長したトナカイを出荷する作業で多忙になり、コンサート活動を中断するという。
マリヤは、誰から教わる訳でもなく 幼い頃から サーミ人の伝統唱法「ヨイクに関心を持ち、歌いはじめた。14歳の時に作詞作曲した Onne Lim(幼かった頃)が、大きな注目を集めた。
■私のアイドルは、おばあちゃん
マリヤは90歳を超えるおばあちゃんの話をする時は、いつも頬が緩む。「おばあちゃんは何でもしってるの…」と祖母を大変尊敬していて、トナカイ放牧で生きていく術、伝統的な刺繍、
サーミ人の歴史や、ノルウェー政府の支配が厳しかった時代のことなど、何でも教わっている。
祖母の影響も大きく、先祖から受け継がれてきた南サーミ人を誇り思い、途絶えそうなっている南サーミ語で歌い続けること、ナカイの群れと共に生きていくことを決意。
またシンガーとして、その決心から 南サーミの強烈な存在感とアイデンティティを感じる。一方ノルウェーの雄大な自然との密接な絆を描写し、大らかな感性も魅力である。
叔父で「アナと雪の女王」のオープニングを作曲した フローデ・フェルハイム(Frode Fjellheim)の影響も大きく、フローデのヨイクの新しいプロジェクト“Russuoh Vuölieb”(ヨイクよ目覚めよ)や、 フローデがNord大学で教えているコースでも学び、マリヤはウメサーミ(Ume Sami)や、南サーミ(South Sami)の伝統について深く学ぶ機会となった。 大御所のアーティストと共演が多く、今後の活動が大きく期待されている。